日本の清水建設は3Dプリントされた建築テンプレートを使用して建設時間を60%短縮した。

日本の清水建設は3Dプリントされた建築テンプレートを使用して建設時間を60%短縮した。
出典: トンネルネットワーク

建設業界において、部材のプレファブリケーション化は省力化施工を実現する重要なポイントです。 3Dプリント技術による建築型枠の印刷は、現場建設にプレファブリケーションの概念を導入する新しいソリューションです。建物の3D CADデータのみを使用して、任意の曲線形状を自由かつ迅速に印刷できるため、設計の自由度が大幅に向上します。
△3Dプリンターで建物の型紙を作成中 △完成品の形状を3Dスキャナーで計測中 これまで清水建設では、3Dプリント製品の品質や耐久性を何度もテストしており、今回、実際の鉄道建設プロジェクトに適用した。このプロジェクトには、交通広場を覆う大きなプラットフォームの建設が含まれ、型枠は歩道橋の基礎と 4 つの柱状要素の構築に使用されました。
清水建設が土木工事で大型3Dプリンター製建築型枠を採用するのは今回が初めてで、独自に開発した繊維補強モルタル「LACTM」も使用しており、現在施工中です。柱脚の建築型枠は非構造部品であるため、設計上は耐荷重能力を持ちません。
△建築型枠を現場に運び、補強工事を行った後、コンクリートを流し込み、さらに清水建設が保有する「コンクリートDXラボ(LACTMと技術研究所の専用実験施設)」に備え付けた材料押し出し3Dプリンタ装置も活用し、特殊形状(円形の底部から上部にかけて花びら状にねじれた形状)の建築型枠を積層・成型しました。

柱は高さ4.2m、直径2.2~2.7mと非常に大きいため、清水建設は柱の施工型枠を水平方向に3つ、垂直方向に2つに分割し、3Dプリンターで積層して造形した。製作後、型枠は建設現場に運ばれ、所定の位置に組み立てられ、コンクリートが流し込まれて特殊な形状の4本の柱が形成されました。

△3Dプリント建築型枠△現場での組み立てとコンクリートの打設
高い強度と靭性を備えた新しい3Dプリント材料
LACTM繊維強化モルタルは、清水建設が独自に開発した3Dプリント用材料です。通常のモルタルに用いられるセメントと砂に、シリカ粉末、高性能減水剤、長さ6mmの合成短繊維を加えて作られており、テンプレートなどの薄い部分をプリントしても形状を保ち、高さ2m以上まで対応できます。

第二に、LACTM を使用した積層構造は耐久性に優れ、積層面が高度に一体化しているため、目視では層ごとに印刷されている構造がわかりません。内部に気泡や隙間がほとんどなく、水や空気が入りにくいため、劣化の速度が遅くなります。清水建設が1年以上屋外に放置した試験品の表面吸水試験を行ったところ、全く水が浸透していなかった。


3Dプリントの利点<br /> 3D建築プリンターで作られた建築型枠は、現場での組み立てや脱型が不要で、硬化後の脱型待ち時間も短縮されます。
「施主に提案し、工期短縮に3Dプリンターが有利であることを強調した」と清水建設技術研究所社会システム技術センター主任研究員の大倉大樹氏は語る。
清水建設は、この新技術により、標準工法では18日かかる工事をわずか7日間で完了し、工期を60%短縮しました。


清水建設の建設現場の未来像 清水建設は、3D建設プリンターの普及に伴い、未来の建設現場の姿を描き出そうとしている。現在、工事現場ではコンクリートを流し込む作業が中心となっており、ポンプ車などの車両が出入りする予定です。第 2 段階では、プリンターを建設現場に持ち込み、印刷した構造物を現場に設置します。最後に、第 3 フェーズでは、設計の自由度の高い構造物をプリンターが自動的に作成して設置することを目指します。

主任研究員の大倉大樹氏は「まず、現場でのプリントを実現したい。プレハブでは輸送できる構造物の大きさが限られるが、現場でのプリントなら、より大きな構造物を直接構築でき、輸送コストを節約できる」と語った。

建築、コンクリート

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