海洋産業への応用:タンカー用 3D プリント部品が検証に合格

海洋産業への応用:タンカー用 3D プリント部品が検証に合格
2021年11月29日、アンタークティックベアは、3Dプリントサービスプロバイダーの3DMetalforgeがコノコフィリップスの極地タンカー「エンデバー」で3つの異なる3Dプリント部品のテストに成功したことを知りました。
3D Metalforge は、ConocoPhillips、エンジニアリング サービス プロバイダーの Sembcorp Marine、および船級協会 American Bureau of Shipping (ABS) と協力し、6 か月間運航されている初の船舶である Endeavour タンカーに 3D プリント部品を製造、テスト、設置しました。
これらの部品は現在回収され、エンデバー号の乗組員とアメリカ船級協会によって検査され、良好な作動状態であることが確認されたと報告されている。
「これらの部品の性能とプロジェクトの成功に満足しています」と、ABS のグローバル エンジニアリングおよびテクノロジー担当上級副社長のパトリック ライアンは述べています。「これは、将来海洋産業で重要な役割を果たすことになる付加的技術にとって大きな前進です。ABS は、安全性を損なうことなく、これらのタイプの部品を導入できるよう尽力して​​います。」
コノコフィリップスの極地用タンカー「エンデバー号」。画像提供:コノコフィリップス
3D Metalforge、海洋・オフショア事業を拡大
3D Metalforge は、SLM、DED、MJF、FFF 3D プリンターとポストプロセッサの多様なポートフォリオをサポートし、幅広い製造、設計コンサルティング、トレーニング サービスを提供しています。同社は主に海洋産業をターゲットにしていますが、石油・ガスや建設などの産業におけるアプリケーションもターゲットにしつつあります。
この目的のため、同社は2017年にエンドツーエンドの生産能力を備えた付加製造センター(AMC)をシンガポールに開設し、その後、3Dプリント部品のジャストインタイム在庫を開発するためにシンガポール海事港湾庁と2つの契約を締結しました。
それ以来、3D Metalforge は徐々に拡大し、21 の新しい印刷工場を設立し、オーストラリア証券取引所に上場して 1,000 万豪ドルの資金を調達しました。同社は IPO 完了後まもなく、テキサスに新工場を建設すること、ハイブリッド ワイヤ アーク (W-HAAM) 技術を備えた AM Port 施設を開設すること、ポンプおよびバルブ製造業者 Flowserve の認定ポンプ インペラ サプライヤーになることなど、いくつかの最新情報を発表しました。
3D Metalforge は最近、石油・ガスグループであるシェルのオフショア施設に 3D プリントされた熱交換器コンポーネントを非常に短い時間で納品し、最短納期の記録を樹立しました。これらのコンポーネントは、熱交換器と凝縮器の熱性能を向上させて、故障の可能性を減らすように設計されています。
シンガポール造船所の航空写真。3D Metalforge は、シンガポールでの船舶 3D プリント アプリケーションをターゲットにし続けています。写真提供:Maritime Executive。
3D プリントされた部品をエンデバーに取り付ける<br /> 一般的に、造船や修理に使用される部品は、鋳造や鍛造などの伝統的な技術を使用して製造されることが多いです。しかし、この新しいプロジェクトでは、パートナーは 3D プリント技術を使用して 3 種類の部品を製造することを選択しました。これにより、従来製造された部品と品質を一致させながら、納期を短縮し、サプライ チェーンの効率を向上させることができました。
このプロジェクトで製造対象として選ばれた 3 つの部品には、タンカーボイラー燃料供給ポンプのギアセットとギアシャフト、船舶衛生設備ポンプの弾性カップリング、および淡水生成器のエジェクタノズルが含まれています。
3D Metalforge は、3D プリント技術のポートフォリオを使用してコンポーネントを製造し、6 か月かけて ConocoPhillips のタンカー Endeavour に搭載して運用を開始しました。
コノコフィリップスの極地タンカーエンジニアリング担当ディレクター、ロバート・ノイヤー氏は次のように語っています。「これらの部品の運用中の優れた性能は、このプロジェクトに携わったチームの厳格なエンジニアリング、製造、および事後テストの努力の証であり、今後この技術を使用して船舶を建造する機会を楽しみにしています。」
写真は、3DMetalforge で 3D プリントされ、オフショア熱交換器に設置された 20 本の独立したパイプを示しています。写真提供:3D Metalforge。
3D Metalforge パーツの検証に成功しました<br /> ABS は 2017 年から海洋部門における積層造形の導入と利用の加速を支援しており、今年初めには ABS 積層造形ガイドをリリースしました。このガイドラインは、2 つの主要な金属 3D 印刷プロセスである PBF と DED に焦点を当て、付加製造施設と部品の ABS 承認および認証プロセスを定義しています。
このガイドでは、3D プリントの設計、原材料、建設前、建設中、建設後のプロセス、検査、テストに関する標準を提供します。
このプロジェクトの一環として、3D Metalforge の 3D プリント部品は、タンカーの乗組員によって回収され検査されるまでの 6 か月間、エンデバー号で使用されました。 ABS は部品を遠隔検査し、部品がまだ正常に機能していることを確認しました。
セムコープ マリンの研究開発責任者であるサイモン クイク氏は、次のように述べています。「このプロジェクトの成功は、海洋産業における積層造形の大きな可能性を予感させます。積層造形を通じて、セムコープ マリンはお客様向けに部品をカスタマイズし、材料の無駄を減らし、サプライ チェーンの非効率性を排除することができます。これは、オフショア、海洋、エネルギー産業へのワンストップの革新的ソリューション プロバイダーとしての当社の価値提案をさらに裏付けるものであり、当社の持続可能性の信頼性を裏付けるものです。」
3D Metalforge によれば、このプロジェクトは、海洋分野などにおける 3D プリント技術の導入をリードするという同社の継続的な取り組みを示すものでもある。
3D Metalforge のマネージング ディレクターである Matthew Waterhouse 氏は、次のように述べています。「当社は、ABS、Sembcorp Marine、ConocoPhillips Polar Tankers などの企業と信頼できるパートナーとして協力し、新しい革新的な製造ソリューションを通じてより大きな価値を提供し、部品製造​​、サプライ チェーン、持続可能性の進化する課題に対応できることを誇りに思います。これらの積層造形部品の検査と検証は、この技術とその応用に対する当社の信念を裏付けています。積層造形の能力をこのように体験することで、将来的にはその商業的応用と受容が拡大するでしょう。」
海洋産業への応用

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